Short story ショートストーリー。AkihisaSawada作。

クラムチャウダー Story #008

 

傘を差して自転車に乗る熊と女の子

眠ることが出来ない。

真夜中 ベッドから起き上がりキッチンに立つ。
昨夜彼女が作ってくれたクラムチャウダーを火にかける。


いったい今夜 どこで間違っちゃったんだろうか?
今夜交わされた僕らの会話を 最初から思い出してみる。

猫が起きだして来て僕の膝に乗った。
僕が食べるのを体を伸ばしてのぞきこんでいる。
猫は彼女が2年前にひろってきた。

僕は間違ったことを口にしただろうか?
スープを飲みながら僕は考えつづける。

間違っていない。

僕は100%正しかったはずだ。たぶん。

ただ問題は、と僕は思う。
彼女もたぶん100%正しかったことだ。

手のひらにスプーンでスープを少しだけとり猫に与えた。

猫は、スープを飲み終えてしまったあともしばらく、ざらざらとした舌で僕の手のひらを舐め続けていた。

彼女が作るクラムチャウダーは、いつものことだがアサリとホタテがちょっと強くききすぎている。
そのせいで、だんだんクラムチャウダーじゃない別の料理みたいな気がしてくる。

でも僕は彼女のクラムチャウダーが好きなのだ。
とてもおいしいと思う。
世界で一番好きなクラムチャウダーなのだ。

 

 

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